プロセスモデルと縁起

 フォーカシングプロジェクトは4月23日、オンラインで「第5回ジェンドリン哲学と仏教を体験的に語り合おう」を開きました。テーマは「縁起とプロセスモデル」です。
 田中秀男さんが最初に話題提供しました。ジェンドリンの「初めに相互作用ありき」は、身体と環境が双方向に影響を与え合っているというのではなく、何かが起こったあとで、その二つが立ち現れることだと説明しました。あらかじめ独立、固定的な人や体験、状況を想定せず、たとえば、消化のプロセスがあって、草は初めて動物にとって牧草になるという理解です。科学者が動物を観察しているような「傍観者的認識論」への批判的見地に立っていると言います。
 次に仁田公子さんが、仏教の大切な概念である「縁起」について話題提供しました。集中内観をすると、周りとの関係によって生かされていると感じるそうです。私によってあなたがあり、あなたによって私がある。縁起には、二つの考え方があり、一つは「相依性(そうえしょう)=相互依存」。もう一つは古い時代の考え方の「世諦(せたい)=因果関係」だそうです。
 土江正司さんは、般若心経を読みながら、「般若」は見る物と見られるものが一体という知恵のある見方だ、と話しました。プロセスモデルの環境#Ⅰが傍観者的見方なら、環境#Ⅱと環境#Ⅲが仏教の知恵にあると説きました。
 その後、参加者を交えて自由に語り合いました。「プロセスが『空』だとしたら、般若心経が理解しやすい」「仏教の縁起は、苦しみから自由になりたいとき、自分という前提はしっかりしたものかと問うことで、空や縁起が出てくる」「ジェンドリンは細かい言葉で言っていて、仏教よりもわかりやすい」などと語っていました。