・戦禍の記憶 戦後60年の2005年、北海道新聞が1月から8月まで連載した「戦禍の記憶」を1冊にまとめた。上村は、読者の体験記から新聞掲載分を選び、体験記の筆者に会って記事を書いた。取材班のキャップとして、道内各地の記者が同様に書いた記事をとりまとめた。北海道留萌管内小平町出身で戦時中、通訳として大阪の捕虜収容所で働いた人が、B級戦犯になり、処刑されるまでを上村が調べて連載記事に加えた「戦犯になった通訳」も収めた。
戦争体験の聞き書きをすることになったとき、上村は父の勝敏も米軍に追われ、食べ物のないフェリピンのジャングルに逃げて8カ月間、集団自活した体験を自分史に書いていたことから、戦争体験を伝えたい人がたくさんいると想像した。父から「日本の風土の中で助け合っていくのが幸福の原点」という教訓を聞いており、もっと多くの体験者の思いを聴き取りたいと思った。
体験者が「よく聴いてもらえた」と感じるように、誠実に聴いて、純粋に心にとどめようと努めた。具体的には本人が応募した体験記の話全体を思い出してもらい、一番伝えたい場面を選んでもらう。大事な場面については、体験者の言葉を伝え返し、ぴったりかどうか確かめてもらうようにした。北海道新聞社刊、2005年。

・フォーカシング・ニューマニュアル~フォーカシングを学ぶ人とコンパニオンのために
(アン・ワイザー・コーネル、バーバラ・マクギャバン著、大澤美枝子、上村英生訳)この本を米国カリフォルニア州アシロマでのフォーカシング国際会議で入手した上村が1年余りかけて下訳し、大澤美枝子さんが監訳した。
アンは、この本の冒頭でプレゼンス(presence)」を「私たちの注意が必要などんなものとでもいっしょにいられる自分の内側の状態」と定義する。私たちが内側の世界を探求するとき、ゆとりがあって安全だと感じた体験を思い出すよう誘いかける。自分が内側の何かに優しく接する態度を目指している。
聴き手を「リスナー」ではなく、「コンパニオン」と表記して、より対等な意味合いを持たせた。話し手と聴き手がそれぞれ手に持って見ながらできる6枚の小さなカードを付録にした。コスモス・ライブラリー、2005年。

・倉本聰 ドラマ人生 テレビドラマや映画の脚本家として知られる富良野在住の倉本聰さんに、1年半かけてロングインタビューし、新聞に連載するとともに、本にまとめた。当時、北海道新聞富良野支局長だった上村が本の大半を執筆した。
聴き手として心がけたのは、話を途中でさえぎるような質問をせず、共感しながら聴く姿勢だ。過去の記憶を今、どう感じているかまで聴きたかった。倉本さんはゆっくりと、ぴったりの言葉を探しながら、プライベートな事実や深い人生・自然観、霊的な側面も語ってくれた。北海道新聞社刊、2013年。

・北海道新聞の記事・コラム(フォーカシング関連)
「心の声を聴く:フォーカシングとは」、朝刊、2002年5月29日p29、5月30日P25
「フォーカシングの創始者ユージン・ジェンドリン」、朝刊、2005年11月27日P3
「心の中のゲスト」、夕刊、2007年12月25日P1
・日本フォーカシング協会ニュースレター掲載記事
「カイ・ネルソンに聞く」、2004年春号P14~15
「心の実感で紛争調停」、2005年冬号p11