トラウマケアにフォーカシング
5月18、19両日に札幌で開かれた星加博之さんのワークショップ=写真下=では、トラウマのケアにフォーカシングを生かす方法を学びました。
星加さんによると、長年続く抑うつ気分・不安やパニック、自殺の衝動などの背景にトラウマの影響があるかもしれません。状況にそぐわない、繰り返される不安や怒り、否定的認知、身体症状などがあるときに、フェルトセンスを手がかりに、凍り付いていた時間を意味あるものにします。過去のつらいイメージを心地良いイメージに再編して、からだが楽になる方法を星加さんは「カイロスフォーカシング」と名付けました。
カイロスは切断というギリシア語に由来します。5分の倍は10分というような物理的な時間をクロノスというのに対して、チャンスや主観的な時間、意味時間をカイロスと言います。今ここでのからだの感じに焦点を当て、同様の感じが生じた最も古い過去イメージにアクセスします。
「〇歳ぐらいのあなたはどうしたかったのでしょうか」。「頭で考えないで、魔法を使ってみるとか…」。透明人間になったり、どこでもドアを想像したり、架空のだれかや今の自分が助けに行くのもいいそうです。私達はトラウマというと、真面目に取り組もうとしがちですが、遊び心を忘れないのが、星加さんのポイントです。
トラウマとなる出来事を繰り返してしまう人には、心理教育も必要だそうです。怖がっている、不安になっている、怒っている、自分を責めているなど、現実への不適応は、昔のクセがそのまま残っているだけと理解すること。「あなたは悪くない」と言って、思い出したものと距離を取り、「今は怖いとか不安に感じるものはない」「何とかなる」と、今ここに生きることを促すのです。
トラウマを抱えた人に接するときに、フォーカシングを使えば、少し楽に取り組めそうな気がしました。