首相との近さ強調した候補勝つ
2月8日投開票が行われた衆議院選挙で、高市早苗首相との近さを強調した候補が、早々と当選確実になった。
北海道新聞によると、この候補は、当初、陣営内では前回以上に「厳しい戦い」との見方が大勢を占めた。しかし、選挙戦が始まると、自民党の総裁選で高市首相の「推薦人になった」と、距離の近さを猛アピール。高市首相らの演説を交流サイト(SNS)で繰り返し発信して無党派層の票の掘り起こしに努めたという。
こうした現象は、この候補だけではない。首相と同じ党にいることや、近い位置にいることを訴えて、高市人気にあやかった候補は多い。
思い出したのは、政治学者・丸山真男の「現代日本政治の精神状況」だ。この論文は、戦時中の日本ファシズム支配の「無責任の体系」を批判した。天皇を権威の中心とし、それからさまざな距離で万民が翼賛するという一つの同心円が描かれた。日本軍は外地に行くと、皇軍として、天皇に近い位置にいることで優越的地位に立ち、アジア各地の住民に対し、あるいは上官が部下に対して暴虐な振るまいをした。その天皇は、万世一系の皇統、遺訓によって統治するので、無限の古にさかのぼって権威を背負っていた。
そこには、だれにも政治の最終責任を負う自覚はなかった。
これから日本政治で大きな問題が起きたときに、首相への近さを強調した議員も、安倍晋三元首相の教えをくむ首相自身も責任から逃げてしまうことを私は危惧する。
