フォーカシングを心理療法に生かす

 内田利広・龍谷大教授による「フォーカシング指向心理療法の基礎」のワークショップが6月17、18の両日、札幌市の道民活動センターかでる27で開かれました。
 初日は23人、2日目は25人が参加。フォーカシングと同療法の基礎、面接への応用などについて実習を交えて学びました。
 熱のこもった先生の説明を聴いていて、納得いく感じがありました。昨年、ワークショップと同じタイトルの本を出版し、研究の集大成を社会に還元する気迫と優しさに満ちていました。
 ワークショップを主催した札幌フォーカシングプロジェクトは結成22年になります。これまで、大澤美枝子さんやアン・ワーザーさんから学んできた傾聴の基本練習がいかに大切かを再認識する機会になりました。内田さんは柔道にたとえて、型から入って型から出る練習の大切さを強調。あくまでクライエントの主訴が優先されるカウンセリングの面接場面でフォーカシングの過程が起きるようにするには、ふだんからフォーカシングセッションで話し手、聴き手の体験を数多く重ねていることだと言います。デモンストレーションでも、内田さんが、リスナーの言葉が出てくるところ、概念以前のフェルトセンスに注目して聴いていることが、うかがえました。
 まずは、話の流れに沿って、伝え返し、理解を確かめながら聴いていく。これだけでも多くのプロセスが進んでいきます。その上で、行き止まったり、どうしてもリスナーが何か伝えたくなったりしたときに、そのフェルトセンスも伝える。フォーカサーとリスナーのフェルトセンスは同じ川の両側から見たもので、瞬時、瞬時に変化し、一緒に「わからない何か」を探っていく姿勢をとること。ー実践に裏打ちされた深い話に、参加者はうなづきながら聞き入り、活発な質疑も交わされました。