フォーカサーの集いin福岡
日本フォーカシング協会の年次大会「フォーカサーの集いin福岡」が8月19、20の両日、九州大学日新プラザで開かれました。
道内からは6人が参加しました。初日の午前中は、村山正治と池見陽さん、吉良安之さんによる公開てい談でした。タイトルは「私が大事にするフォーカシング~これまで、今、そしてこれから」です。
村山さんはこれからの発展する方向の一つとして、「いろいろな流派に共通の何かを探していくこと」を挙げました。さらに本人だけでなく、社会を変えていくこと、学校でフォーカシングを教えることを強調しました。「むこうからやってくるのを待てるかどうか。現代社会は待つことを失っている。人間理解の大事なところだ」と話しました。
池見さんは「私の時間論」として、主観世界における時間は「これまで、いま、これから」の順ではなく、「現在・未来」が先、それから「過去」の順に体験される、と具体例を挙げて説明。今、取り組んでいる「実践に暗在する人間観(体験過程モデル)を言い表すこと」などに言及しました。池見さんは漢字フォーカシング、アニクロなどのワークを開発してきましたが、その多くは「フェルトミーニング中心だった」と言います。ジェンドリンの言う「フェルトセンス」と「フェルトミーニング」の違いはあまり知られていません。池見さんは、この二つを名詞としてではなく動詞としてとらえます。フェルトセンスは「やってくるのを待つ」という反省的な営みの上に生起し、「フェルトミーニング」は気づかないうちに作用していたことが「あとになってわかる」と違いを説きました
吉良さんは、マニュアル化された治療計画と実践が時にしてセラピスト個人の「私性」を薄めがちだと指摘。「あなた-私」関係に基づく心理臨床を身につけるための実習として、ふだんの生活の中にいい時間を見つける、など感じることを楽しむような諸々の実習を勧めました。
集いでは25の「出店」が開かれました。このうち、「フォーカシングの普及・広報について考えよう」では、日本フォーカシング協会のホームページやニュースレターがメンバー向けになっている問題点を共有。一般の人向けにフォーカシングとは何かを詳しく説明したり、同協会メンバーの関連サイトにリンクをはるなど、広報を強化する必要性が語られました。