「コロナ禍と慈悲的英知」村里忠之さん講演

 日本ジェンドリン学会長の村里忠之さんが、3月にTAEシンポジウム2021で講演した「コロナ禍と慈悲的英知」の記録が、TAE研究会のホームページで公開されています。
緊急事態宣言が、東京、大阪、北海道などで6月20日まで延長されることが決まりました。自分がいつ感染するかもしれないという、緊張感の漂う社会で私たちは、どう判断、行動したらいいでしょうか。
 他者なしで存在できないのは、人もウイルスも同じです。村里さんは「そのことをリアルに感じるためには、人間はいったん人間を離れなければならない」とし、フォーカシングの「間をとる技法」を挙げて、「英知とは間をとることである、と言ってみたくなる」と述べます。
 ジェンドリンやフッサール、ハイデガーらの哲学や仏教に言及し、「人間固有の存在とは、他者への十分に機能的な越境・交差・創造的な応答」であるとします。他者はそれが人であれ、物であれ、コロナウイルスのような存在でも、違和感や異質感、困難、扱いにくさ、そこから生じる緊張感をもたらします。しかし、私たちが自身の本来的な共生の指向に従い、その他者を指向し、寛容に、同居、ときに棲み分け的存在、すなわち平和を思い、その方向を目指す考えを、村里さんは正しいと感じるそうです。