「非武装、中立」の国

 ウクライナ情勢で心を痛めています。ロシアは、ウクライナの「非武装、中立」を求めていますが、私は2004年に、軍隊のない国・中米のコスタリカを取材したことを思い出しました。
 コスタリカは面積が北海道の6割の小国です。内戦でたくさんの人が死んだ経験から、1949年に憲法で「常設の組織としての軍隊は禁止する」と定めました。軍人はゼロ、戦車や大砲など重火器もありません。83年に「永世・非武装中立宣言」をしたルイス・モンヘ元大統領に会いました。軍隊に予算を使わない分、国の予算の30%以上を教育、15%を健康・福祉に充てたそうです。国立子供病院長の話も聞きました。29の国立病院、40のクリニック、826の診療所の医療費は、外国人を含めすべて無料だそうです。
 地元紙編集局長によると、隣国ニカラグアが侵略すると脅した80年代前半も国民から再軍備を望む声は上がらず、友好国が守ってくれました。
 子どもを大事にしています。古い刑務所を改造した国立子供博物館を見学しました。日本の科学館と水族館、博物館が一体になったような施設です。大人の身長より高い口の模型の中で歯磨き指導を受けた後、歯学部生に歯をみてもらう部屋もありました=写真=。
 今のウクライナでは、停戦とロシア軍の撤退が第一ですが、ロシアと北大西洋機構機構(NATO)諸国にはさまれ、これだけの苦難を経験しているウクライナの将来、非武装中立は選択肢の一つと思います。