デイビッド・ブレイジャーさんの話を聞く

 「禅セラピー」などの著者で、仏教と心理学についての著書の多い英国人デイビッド・ブレイジャーさんが4月15日、日本フォーカシング協会国際交流グループで話をしました。オンライン会議で、22人が参加しました。
 ブレイジャーさんは「心理療法は西欧や米国で開発された方法が広まり、そこでは自己愛や自信がとても大切なことと語られている。仏教はいかにして自己を滅するか、自己を無くするあり方が大事とされていて、対立するような要素になっている」と問題提起しました。そして「多くの西洋のセラピーは特別な一つの問題を解決できても、その人が自己にとらわれる結果を招いている。もっと他者に注意を向けることが大切」と述べました。
 具体的には、クライエントがある重要な人について語り始めたときに、セラピストは「あなたはどう感じていますか」と聞くのではなく、その重要な人について聞く。重要な人についてより深く知っていくことが、人間とはどういうものか知っていくことになり、深いレベルで溶け合うことが起きる。善悪の判断も意味なくなり、ただ、あるがままそこにいる「仏性の現れ」になるというのです。ブレイジャーさんはクライエントと会うとき、「この人は何を教えてくれるかな」という感じでセラピーを始めるそうです。