シカゴスタイルの傾聴練習

 関西大学大学院教授の池見陽さんが「シカゴスタイル」と名付けた傾聴の練習を、私も池見さんの研究会でやってみました。
 カール・ロジャーズとユージン・ジェンドリンがシカゴ大学で出会ったことから、池見さんはこの名前にしたそうです。二人は相補う関係で、ロジャーズは成功したカウンセリングで、聴き手(カウンセラー)のやっていること、ジェンドリンは話し手(クライエント側)のやっていることを研究しました。それぞれの良いとこどりをしたのが、この練習方法です。
 最初に、デヴィッド・ロームさんが「マインドフル・フォーカシング」の本で「深い傾聴」と題して紹介している、聴き手が応答しない時間を12分間とります。これは、大澤美枝子さんが「黙って聴く練習」と言っているのと同じです。聴き手は、相づち、うなずきはOKですが、何を応答しようかと考えなくていいので、話に集中して聴けます。話し手を尊重し、ゆだねておくのです。
 次の8分間は、①聴き手が「理解を試す」(Testing Understanding)応答と②感じたことを伝える応答だけをします。この「理解を試す」は、ロジャーズが、それまで「感情の反射」とか「オウム返し」と言われ、バカにされたように感じて嫌だった名を、亡くなる1年前の1986年に変えたものです。「こんな風に理解していい?」と尋ねます。
 感じたことを伝えるのは、ジェンドリンが「フォーカシング」の第11章「傾聴の手引き」で、「相手に対するあなた自身の感情と反応を使う方法」として紹介している援助法です。
 短時間にとても深い体験をできました。もっと普及したい練習方法です。